ドリームの日記

社会の荒波に負けた。

吸血の家を読んだ

二階堂黎人さんの「吸血の家」を読みました。

 

蘭子ちゃんと黎人くん兄妹を中心に起こるミステリーです。作者の名前が重要なキャラに使われているの良いよね。

辻村深月さんとか、伊坂幸太郎さんとかのが好きだったな。名前使うやつ。(有栖川さんは未読)

 

事の発端は、蘭子ちゃんと黎人くんがよく行く喫茶店に怪しい女が現れて「雅宮家で恐ろしい事件が起きるぞぉ~!24年前の事件とも関係があるぞぉ~!」と騒いで逃げる。

なんぞあの女・・・とお客たちは思いつつ、雅宮家というのは蘭子ちゃん黎人くんの親戚のお家なので知らせてくれた。

この時、外は吹雪だったんだけど、逃げた女の足跡は途中でパタっとなくなっていたわけです。単純に途中から車に乗ったんだろうということだったんだけど、この流れで、この本では足跡系のトリックが使われるんですね!!!!!と思ってさっそくワクワクしました。

 

喫茶店での怪しい女の一件について聞いた蘭子ちゃんと黎人くんは、知り合いの中村警部を家まで呼び出して話を聞きます。(蘭子ちゃんと黎人くんのパパ上は警視正。そんな家庭に生まれてみたい)

そこで、24年前に中村警部が関わっていた雅宮家での事件について知ります。

雪の降る日に、雅宮家で1人の男が背後から毒の付いた短刀でブスリとされて死んでしまっていたということでした。しかも、被害者の足跡はあるのに加害者の足跡がない。ひゅ~~~~~!!!最高かよ~~~~!

雪って、足跡トリックのためだけに降ってるんじゃ?北の大地って、そのためだけに日本にあるんじゃ???

 

雅宮家は女系家族で、アホみたいに美人の三姉妹と、その長女の娘、お手伝いさん夫婦が暮らしています。長女の娘・冬子さんは体が弱い上に時折何かに取りつかれたようになるので、そのお払いをしてやると怪しい霊能者が乗り込んできます。

除霊会を開くから蘭子ちゃんと黎人くんも参加しましょ!と誘われて「こいつは事件が起きるぜ」と意気揚々と参加する2人。そして案の定人が死ぬ。しかも密室。(死んだのは、霊能力者を連れてきた男。ちなみに次女の元旦那)

 

次の日(だったっけ?)には、テニスコートに倒れている霊能力者。被害者の足跡はあるのに、加害者の足跡がないよぉ~~~~~~!!!ってのが、ここで起こります。しかも、被害者の足跡を見るに、明らかに何かから逃げてて後ろから刺されている。

この謎、トリックが説明されたときに「わかるかーーーーい!」って声出たわ。そんな知識持ってないわよ。名探偵になる人って全知全能なの???

 

24年前の事件は、犯人がわかった後に謎解きされるんだけど、犯人がわかったときに「足跡なかったのはこういうわけかーーーーー!!!!!」とギリギリ先に気付くことができた。やったね!犯人は全くわからんかったけどな!!!

 

わたしは、ミステリの中で探偵を務める人は基本的に変人のほうが好きなんだけど、この作品の名探偵になる蘭子ちゃんはとてもしっかりした人です。美人で頭良くて、見ていて安心できたので、こういう名探偵もありだなーと思いました。蘭子ちゃん好き。

 

吸血の家は、雪が降ってることによって出てきた足跡の謎が良かったし、美人三姉妹が美人である必要もそんなにないのが最高だった。小説って美人が館にいるだけで、なんか怖くなるもんね。儚ねぇよ~~~~~~~~~~~~~~!!!

 

とりあえず蘭子ちゃんのシリーズ他のも読みたいな。終わり。

星占術殺人事件を読んだ

先日、島田荘司さんの星占術殺人事件を読みました。

この本を貸してくれた人には「殺人事件が3件起きるんだけど、犯人が全くわからない。第三の殺人を起こすのはこいつしかいないだろ!ってやつは、第一の殺人でとっくに死んでる。消去法で犯人を絞り込むのすら無理。でも、ちゃんと読んだらわかるようになってる」と言われていました。

 

わたしはもともと「トリックわかったっぴー!」とかできたことないので、そんなんもう無理じゃん絶対わからないじゃん・・・と負け戦に出たわけです。

でも、トリックわからなくても犯人当てるくらいはしたいなぁと思ってました。小説を読んでいたら、「全然わかんないけど、たぶん犯人こいつじゃね?」ってことありません?

 

小説冒頭は、わりと長いイカれ親父の手記で始まります。

娘と親戚の女の子6人を殺してバラバラにして、それぞれのパーツを錬金術で組み合わせて「アゾート」を作る!とても美しい生き物がうまれる!おいら絶対にアゾート作る!って内容です。まじもののテンションでアゾート計画を長々と語られるのは結構きついです。こいつは魚座なのでこうやって殺すのがいい。残りのパーツはどこどこに捨てるのが最適。みたいなのが永遠続きます。

読み始めてさっそく「?こいつ頭イカれてんな?」となります。

 

で、そのイカれ親父が密室で殺され、イカれ親父の義理の娘(結婚してすでに家は出ている。未亡人)が自宅で殺され、6人の娘と親戚の女の子が行方不明に。そしてイカれ親父の手記が見付かり、アゾート計画が知れわたります。そんで6人の娘たちがそれぞれ別々の山でパーツが足らない状態で見付かりました。頭がないとか、胸部分がないとか。

 

こりゃあ完璧アゾート作られてるよ~~~!となるんですけど、アゾート計画を立てていた平吉(イカれ親父)は、6人が行方不明になる前に殺されてるし、じゃあ平吉にアゾート計画について聞いた人が犯人?でも平吉ぼっちだから友達いねえよ?ってなります。

 

そもそも平吉殺しも密室で行われ、意味のわからない足跡が残されていたりして完璧に意味不明なのです。

それから40年、この謎は解かれずに、マニアがアゾートを探したりしてました。(アゾートが本当に作られたかどうかもマニアが好む争点)

 

そんで、出てくるのが御手洗さんです。

御手洗さんは星占術をやっている人で、そこに飯田さんという女性が相談に来ます。まぁ、いろいろ訳あって、この殺人事件を解決しておくんなまし!という相談です。

御手洗さんは、唯一の友人・石岡くん(結構マニアでこの殺人事件に詳しい)と一緒に事件解決に乗り出すわけです。

前半は石岡くんが事件について説明して、御手洗さんは「それはこういうトリックだね。ふん」みたいに言うことが多いです。

お話が進むにつれて、御手洗さんが「京都に行くぞ!」と言い出す。手がかりを探すわけですね。なぜなら飯田さんのお兄さんがやって来て、言い争いになった挙句、御手洗さんが「一週間で犯人を見つけてやる!」と言ってしまったので。

実は、飯田さんのお父さんは警察官で、事件当時いろいろと犯人に利用され、死体を日本各地の山中に埋めていたのです。利用されたといっても、実際に犯人には会っていません。そのことを示した手記を残したまま亡くなり、それを飯田さんが見つけて「父の無念を晴らして!(旦那が警察官なのであわよくば手柄をくれ!)」という流れだったのです。

 

ところが、飯田さんのお兄さんも警察官だったわけで、御手洗さんに重要な記載のある手記が渡ったことを知り、「それを返せ素人!警察が捜査するんだ黙ってろ!」と怒鳴り込んできました。そんなこんなで、御手洗さんが一週間で解決するからその間だけは待っていろと啖呵を切ったわけです。

京都に行って、いろいろと動きが出てからが個人的には好きだったかな。

今起きている殺人事件じゃなくて、40年も昔の事件を解決する、というのは私の中では新鮮でおもしろかった。

 

御手洗さんと石岡くんの掛け合いもとてもおもしろくて好き。ただ、口調が同じなので何回も「これどっちが喋ってんの?」となった。ゆっくり注意して読めば大丈夫だけど。バーっと一気は読めないのがもどかしかったよ。

 

あと、御手洗さんは奇行が激しく、それに対する石岡さんの反応というか心の声が完璧にツボでした。奇行じゃないけど、「御手洗は犬に好かれる性質らしい。同類と思われているのだろう」とか最高。そんな普通のテンションで最上級のディスを入れなくても。

 

御手洗さんが発狂して公園内を走り出し、石岡くんがそれを追いかけ、近くにいたカップルにドン引きされ、最終的に走り出した位置と同じ場所に戻ってきたところは普通に声に出して笑った。やっぱりさ、名探偵は少し頭のおかしい人がいいよね。

 

で、犯人がわかった御手洗さんは、石岡君を京都に残して犯人を捜しに行く。40年たってるのに、居場所の目処がついたらしい。そして本当に見つけちゃうんですよ。

 

呼び出された石岡君。目の前にいるのは女性。「こちらが犯人だよ」と紹介されるも、「誰???」って感じになる。もちろんわたしも「お前誰だよ」ってなってました。女?女で事件に関わってて存命なのっていたっけ?誰?となる。

 

犯人とかトリックとか、ここで説明したいんだけど、無理ですわ。とにかく犯人のやることが大胆すぎた。ていうか、小説内の構成もうますぎて完璧に騙された。読みはじめから騙されてた。叙述~~~~!ふぅ~~~!

 

十角館の殺人もそうだったけど、まじで言葉にならない声が出るんだよね。

あ~~~~~!あーーーーーーー!!!って、本当に言っちゃうの。心の声じゃなくて、まじで言ってるからね。奇行というものに関しては名探偵の才能があるのかもしれない。

 

今後ね、推理小説は前提とか全てを疑いながら読もうと思いました。

 

終わり。

十角館の殺人を読んだ

先日、綾辻行人さんの十角館の殺人を読みました。

 

ストーリーは

犯人の独白(絶対あいつら殺してやる復讐じゃ・・・的なの。もちろん名前も性別もわからない)から始まる。

そんで大学の推理小説研究会の7人が行く、無人島の十角館が舞台になります。

 

もうさ、無人島+館とか最高すぎるでしょう。

一週間外と連絡が取れない状態なんだけど、こういう王道がとても好きなので読み始めてすぐに「最高です!!!!」となった。

 

犯人の独白でも、殺人を計画していたことを手紙みたいなのに書いて、瓶に入れて海に流すんだけど、これがアガサ・クリスティーそして誰もいなくなった」のオマージュになってるんだよね。アガサ読んでて良かった。

しかも、館には同じくそして誰も~に出てきた10体のインディアン人形を思わせるものもあるのよ。オマージュとかかなり好きなのでワクワクしました。

 

推理小説研究会のメンバーは7人で(他にもいるけど、無人島に来たのは7人)それぞれ、有名な推理小説家の名前で呼び合ってる。アガサとかエラリイとかね。

この名前は、研究会の中で中心的なメンバーが代々先輩から受け継いで来てるっていう最高な設定。選民性がすごい。わたしも先輩からアガサって名前受け継ぎたい。(作中のアガサが美人設定なのがまた最高)

ちなみに、エラリイ・アガサ・ポウ・カー・ヴァン・オルツィ・ルルウの7人です。

ずっとこの名前で進んで行くことによって本名がわからず、それがね、それがいいんですよ。後半でふと、この中の誰かなんだろうなぁという名字が出てくるんだけど、読んでるこっちからしたら「誰だそいつ」ってなるんです。これはね、小説だからできたお話だよね。すごい本当にすごい。

 

行った島も島で、半年前に4人が惨殺された島。屋敷もその人たちが所有してたもの。そんなところに意気揚々と泊まりに行くイカれ具合よ。

で、殺人予告みたいなものがあり、「誰のイタズラでござるかwww」みたいになってたんだけど、翌朝オルツィが自室で首を絞められ、左手首のない状態で見付かり、イタズラじゃなかった!とパニックになります。

 

この時、オルツィの死体を確認したのが、医学部のポウだけなんですよね。

若い女の子だから、この顔は見ないでやってくれ・・・みたいに言うので。絞殺だからね。

なので、わたしは「絶対オルツィ生きてるしょ。共犯者でしょ」ってずっと思ってた。

 

そんで案の定、続々と死んでいくんですよね。みんなが大好き「コーヒーを飲んでたらいきなり苦しみだして死ぬ」というパターンもあるよ!だんだん人数が減っていって疑心暗鬼になっていく様も良いです。

わたしはエラリイがお気に入りだったので「死なないでくれえ死なないでくれえ」って思いながら読んでた。

でもこの状況で生き残るには犯人か名探偵かしかないから、難しいよね。

 

ちなみに、島だけではなくて本土でもお話が進みます。

推理小説研究会の元メンバー、江南くんのもとに「千織は推理小説研究会の奴らが殺した」という内容の手紙が届いていました。

千織というのは、推理小説研究会にいた子で、歓迎会かなんかで急性アルコール中毒で亡くなってしまっています。そんで千織ちゃんのご両親が、半年前に島で惨殺された4人の中にいるのです。こわや。完璧に島に行っちゃアカンやつです。

 

それで好奇心旺盛な江南くんは、推理小説研究会で仲が良かった守須くんと一緒に、この話に首を突っ込んでいくのです。

江南くん、かわみなみ と読むのですが、もう「コナン」としか読めないよね。しかも、研究会にいた頃に受け継いでいた名前は「ドイル」です。最高&最高かよ。

じゃあ守須くんは「ルブラン」なのかな?ってなるよね。なるんだよ。

(「モーリス」自体は知っていたけど、「モーリス・ルブラン」とは知らなかったので今調べた)

 

島では、どんどん人が死んでいく中、みんなで「こいつの時は○○なら犯行が可能。こいつの時なら△△が濃厚」みたいに話し合っていきます。まぁ、すぐ喧嘩になるんですけど。それを読みながら一緒に推理するのも楽しいですよ。

 

千織ちゃんの家庭の事情とかもどんどん大事になってきて、一体誰がなぜ(わたしは本当に千織ちゃんのために殺してるのか?とずっと疑問に思ってた)殺人をしてるのか、当ててみてくりゃれ!!!

 

これは結末まで感想書いていたらまじで終わらないので、書きません。

ただ、犯人がわかるところは本気で「あああああああ~~~!あーーー!あーーー!」って声出ます。言葉にならない声が出ました。

お前~~~~~!?お前そうかー!お前~~~!くそーーーー!となります。

 

誰かが読み終わって「お前ー!お前かーくそー!」ってなってるところ、いつかリアルタイムで見たいな。横で「わかる~」って言いたい。

 

終わり。

恐怖小説キリカを読んだ

澤村伊智さんの長編3作目、「恐怖小説キリカ」を読みました。

澤村さんの1作目「ぼぎわんが、来る」も2作目の「ずうのめ人形」も大好きだったので、「恐怖小説キリカ」は書店で予約してゲットしていました。読み終わったのは結構前なので少し曖昧です。

 

ぼぎわん・ずうのめは、ちゃんとオバケが出てくるホラー小説です。わたしは純粋なホラーが好きなのでとってもとっても嬉しかった。

今回のキリカは、「人間が一番怖い」系の話です。個人的には、人間が怖い系を読んでると「なんだこいつ本当に日本語が通じねえのか。説得できねえんなら殺される前に殺せ!!!」となってしまうので少し苦手です。感情移入が激しいので。

 

でも澤村さんの作品は全て読んでおきたいので買っちゃった。

そうしたらね、主人公が「澤村電磁」と言うペンネームで投稿した「ぼぎわん」が、日本ホラー小説大賞を取るところから始まるんだよ。「これまんま澤村さんのお話やーん!楽しい!」ってなりました。

 

すごいね、現実の出来事を反映してるんだよ。澤村さんがもともと「伊智」じゃなくて「電磁」で投稿していたのは知っていたんだけど、何でペンネーム変更されたのかは知らなくて。でも、こういう理由だったんだなとわかった。それも楽しい。

編集の人との会話とか、ほとんどそのまんまなんじゃないの?と思えてくる。

 

ストーリーとしては、澤村さんは働きながら趣味で「小説を書くぞ会」というのに参加している。(本当にこの会もあるらしい)

そこで書いた小説「ぼぎわん」をホラー小説大賞に応募したら、大賞を取って出版が決定した。それを会のみんなに報告したら、その中の1人が「こいつは俺が育てた。これからもプロデュースする。こいつのことは俺が一番わかってる」みたいになっちゃって、まじもののストーカー化する・・・という感じ。

 

タイトルにもなっている「キリカ」は、澤村さんの奥さん。

2人目の奥さんなんだけど、澤村さんはそれをみんなに言っていないので、ストーカーももちろんキリカの存在を知らず、「離婚して闇落ちしたからこそ、こんな素晴らしいものが書けた。前妻への悪意がつまってる。前妻は今すぐ謝罪しろ!!」みたいなテンションになります。

 

そしてキリカの存在を知ってしまったストーカーは、「嫁殺すわ」となって家に押しかけちゃう。これだけでまぁまぁ怖いしむかつく。キリカも怖い思いする。澤村さんもキリカも絶体絶命!!!みたいになるんだけど、突如ストーカーが「嫁はどこにいる?お前は誰と話しているんだ???」と言い出す。キリカは(え?わたし目の前にいるけど、どゆこと???)となる。ストーカーにキリカは見えていない。

 

ほえ~~~~!!!そっち!!!となりました。どうりで話が進むペースに比べて、残りページが多すぎると思った。

作中の澤村さんは、人を殺さなきゃ耐えられない!!でも殺さないで生きていけるなら、そっちの方がいいな って癖の方で、前の奥さんと結婚してた時だけは殺人衝動がなかった。でも離婚が決まって、やばい!また殺人衝動でる!平穏に暮らしたいのに!となり、でも再婚はできそうにない、どうしよ・・・あっ!脳内で奥さん作ればええや~~~ん!となり、キリカを作り出しました。発想がやばい。

脳内奥さんは、最初は妄想でしかなかったのに、いつの間にか勝手に動き出すようになったと。ただ、キリカが喋る声は、澤村さんの口から裏声となって出てくるので、外では注意が必要。妄想の奥さんなので、キリカのことは誰にも言ってなかったということですね。キリカ自身も、自分が妄想の産物だなんて知りませんでした。

 

ただ、キリカは案外あっさりそれを受け入れてた。

ストーカーは澤村さんがパッと殺して死体をバラバラにしてバレないように処理し、それ以降殺人を繰り返すようになるんだけど、キリカはそれを止めようとする。それで自分がどこまで自由に行動できるのか色々と実験するんだよね。

自分なら、(えー?わたし妄想なの?命とは・・・一体・・・)となってしょんぼりすると思うので、キリカはすごいです。

というか、メンタル割と弱くて相手に強く言えないというイメージがあったので、キリカいきなりどうした・・・と思いました。澤村さんを止めたい一心で頑張ったのかね。

 

後半になって澤村さんのジェノサイドが加速した後も、これ現実の会話なんだろうなあと思うところはいくつかあるし、小説を書くぞ会のメンバーか書いた小説も使われたりしているので、だんだん「これ本当にフィクションなんだろうな・・・」という気持ちになってきます。こわいね。

 

最後までハラハラ ドキドキなのでぜひ読んでね。キリカ頑張れぇ~となるから。

 

とてもおもしろくて大好き!と思ったし、わたしが読んだ中での話だけど、すごい新しいなと思った。けど、やっぱりオバケが出るお話を書いてほしいな。次回作ではオバケが出てくるらしいので、楽しみです。

 

読んだ人はわかると思うけど、わたしが1ヶ月以内に死んだら澤村さんに殺されたと思ってください。

終わり。

屍鬼(三)を読んだ

小野不由美さんの屍鬼の続きを読みました。

 

ここらへんから夏野くんのお父さんがだんだんポンコツになっていきます。

最初のうちは村人ともちゃんと仲良くやって、夏野くんの気持ちは少し理解してあげられてないなと思ってはいたものの、ユーモアのある普通(よりたぶん少しかっこいい)お父さんだったのに。

夏野くんが屍鬼の存在に気付いて警戒していたのに、お父さんがあっさり家にいれてしまい挙句の果てに夏野くんが屍鬼、しかも仲良しだったお友達の徹ちゃんに噛まれてしまうという。

 

吸血鬼がよく言われている「招かれないと家に入れない」っていうのが屍鬼にも適用されていて、お父さんが家に入れちゃうんですよね。しらん奴を息子の許可なしに息子の部屋に入れるんじゃねえ。

お父さんは伝染病だと思っていて、その初期症状とかもしっかり知っている。なのに全くそれと同じ夏野くんの症状を見ても(少し具合が悪いだけだ・・・)とか逃避して放置する。それで死んだ人を何人も見てるのに。ポンコツか。

 

夏野くんのすごいところは、お父さんが「知らん女の子来たからお前の部屋に入れたよ」って言っただけで、招いたら自由に家に入れるようになる というのに気付いたこと。一緒に屍鬼を倒そう!って言ってる昭くんにすぐに電話で忠告します。なぜポンコツお父さんからこんなに鋭い子どもが生まれたのか。

 

アニメだとお父さんは小学生の女の子にブチ切れたり、まあまあひどい描写だったので、余計に悪く思えてるだけかもしれないけど。

 

あと三巻からは屍鬼側の視点も入り始めるので、それもおもしろい。

家族を進んで屍鬼にしようとする人もいるし、家族は襲いたくないって人に分かれる。すぐに人を襲える人もいるし、自分では襲えなくて血だけ分けてもらっている人もいる。屍鬼になっちゃったら、どうしようねえ。と思う。

恵ちゃんが「生きてた方がマシ」ってなるところは好きだなあ。

 

あと、村がおかしいって気付いてる人ほど(伝染病だと思ってる人も、屍鬼だと気付いてる人も)自分たちには災厄が降りかからないって思っていておもしろい。

何人もの登場人物が「自分の周りは避けてくれるものだと妄信していた」みたいなこと言い出す。でも実際そうなるんだろうな。

 

屍鬼の仕業ってことはわかった。でも何のためにやってるのかわからん!って感じで三巻は終わりました。四巻も楽しみ。

 

 

 

ちなみに静信さんは仲良しの沙子ちゃんが元凶って気付いたのにほっといてます。気付いてからも会ってるし「君が屍鬼だね」とか言うのに。せめて動機を聞くくらいしろや。ほっといてるくせに、武藤先生と「奴らは何のためにこんなことを・・・?」とかやってます。あんたが本人に聞けば済む話や。

 

屍鬼(二)を読んだ

二巻を読みました。

一巻は「おいおい人が死にすぎだろ・・・もしや伝染病?」「村がパニックになるから、対処方法がわかるまで黙っておこうな!3人の秘密な!」って言って、医師の尾崎先生、副住職の静信さん、役場勤務の石田さんがそれぞれ謎の死の原因究明を目指していました。

 

二巻では一巻よりもめちゃくちゃハイペースで人が死にます。「ああ、またか」みたいに思ってしまうし、尾崎先生も「また例のやつか・・・やれやれ」みたいな感じで対応することがあります。おい医者こら。

 

尾崎先生は医者なのに治せないのがとてもストレスになって自分に腹が立っていて、でも田舎の人間は「まあ風邪だろ。寝てりゃ治るわ!」みたいな感じで病院に来ないし、「お前病気だから明日も絶対病院来いよ」って言っても「やっぱり休みの日に悪いから行~かない」とかやりだすし、それで次の日に死ぬし、まあそりゃ切れるわな、と思った。わかってることは全血輸血がなんとなく効果があるらしい・・・ということだけ。

 

静信さんは、葬式の際に(寺の人間なので大体の葬式に行く)遺族に話を聞いて、病気がどこから移っているのか確かめようとします。そしたら、死んだ人の中で村の外で働いていた人だけは、何故か死ぬ2日前くらいに仕事をやめていた。ちなみにこの病気(?)は発症して3日くらいで死ぬので、2日前って言ったら、普通に動けなくなってるくらい。静信さんは「おやおや~~?なんぞ」ってなってもっと調べてみる。そしたら、村の人間が20人くらい引っ越してることがわかった。しかも、夜逃げみたいな感じで。そんでもって、引っ越した人たちは発症していたと思われる。

 

静信さんは尾崎先生に連絡して、このことを伝えるんだけど「てめえ何関係ないこと調べてやがる!くそ!時間を無駄にしやがって!」とどちゃくそ怒られて帰った。そして沙子ちゃん(13)に慰めてもらう。落ち込むたびに13歳の女の子に慰めてもらっているんです。住職こら。

 

静信さんと沙子ちゃんの会話って、ほとんどが「静信さんってこう考えているんでしょう。だからこうなってこういう気持ちなんでしょう」っていう沙子ちゃんの分析で、静信さんはひたすらに「そうだね」「そうかもしれない」「自分でもわかっていなかった。きっとそうだったんだ」って言ってる。自分を見失っているにもほどがある。自分探しの旅に出たほうがいい。

 

そして二巻では夏野くん(屍鬼の登場人物、若い世代代表)の仲良しで大好きな徹ちゃんが死んでしまいます。アニメ版だと、序盤で死んだJK恵ちゃんが徹ちゃんを襲うんだけど、そこがめちゃくちゃ怖いんだよね。ちょっと期待していたんだけど、小説だとあっさり死にました。まあ、まだ吸血鬼だと判明してないんで襲うシーンはそりゃないか。あっさり死んでしまった分、夏野くんが「は?なんで?」って思ってるのに対して「そうだよね、なんでこんないきなり・・・」って共感できました。

 

共感できたと言えば、病院で尾崎先生と看護師さんたちがどんな病気なのか話し合うんだけど(看護師さんたちはさすがにおかしいと気付いたので、事情を話した)専門用語がバンバン出てくるんですよ。その会議の中に1人だけ医療知識のない事務員さんがいて、その人が「?」ってなる度にわたしも「???」ってなってた。その事務員さんに看護師さんたちがいろいろ説明してくれるので、事務員さんと一緒に「なるほどー」と言ったよ。

 

こうやって専門的な話をする場に、素人を1人配置することで、会話の中で自然と説明させられるのうまいなと思った。これで登場人物みんな全てを理解していて、心の声として「●●・・・そう、それは△△を利用した治療法のこと」みたいに語りだしたらキモいもんね。

 

ちなみに夏野くんは、吸血鬼かゾンビがいるな。と気付きます。死んだはずの恵ちゃんにストーキングされているからです。恵ちゃんは生前夏野くんのことが好きで、よく家の前でこっそり夏野くんの部屋を観察していて、夏野くんはそれがとても嫌だった。恵ちゃんが死んでようやくカーテン開けられるわぁってなってたのに、なぜかまだ窓の外に恵ちゃんの気配がある。そんでなんやかんやあって、恵ちゃんか蘇ったことを確信しました。

 

夏野くんは尾崎先生に、恵ちゃんは本当に死んでいたのか、仮死状態から生き返ることはあるのか?生き返ったなら普通に出てくるよね、だってこの村土葬だし。って聞きに行きます。尾崎先生は「バーローwそんな誤診するわけないwww」って爆笑してました。笑うところちゃうぞ。でも、夏野くんの真剣な顔を見て、吸血鬼・・・?ってなるんです。死んだ人には必ず2つの小さな穴のような傷があったので。

 

ってところで二巻終わりました~~~~!!!

吸血鬼だってわからないで読んでみたかったですね。

でもここら辺からアニメの記憶が曖昧なので(なぜならアニメで怖いのはここらまでなので)純粋に小説を楽しめるかもしらん~~!

三巻も楽しみ。

 

 

屍鬼(一)を読んだ

小野不由美さんの屍鬼(一)を読みました。

もともとはアニメ版を全部見ていたので、

ええ~原作小野不由美さんだったの!?!?!?ってなった。

小野不由美さんは映画化された「残穢」の原作者。

ホラーとか推理小説とか書いてる。わたしは小野さんのホラーが好き。

 

アニメ版はみんな顎がとがっているビジュアル系だし髪の毛の色も

普通に青とか緑とかいるし主人公は紫なんだよ。おかしいだろ。

 

話としては、隔絶された村に引っ越してきた風変わりな一家が

実は吸血鬼で(この話の中では屍鬼と名付けられた)

村の人たちがどんどん餌食になるんだけど、アニメ版では

なぜか最終的にバトルロワイアル化して屍鬼と肉弾戦の末勝つんだよね。

 

3話くらいまでは、みんな顎とがってて目がキラキラしてるけど

話はやっぱりこわ~~~い!と思って見てたのに、

10話くらいになると、なんかもうわからなくなってた。

だから小野不由美さん原作って聞いてびっくりしました。

原作とはいろいろ変えたお話なのかもね。

 

話の中に出てくる村は、卒塔婆とか棺を主につくっていて

いまだに土葬をしている。それが当たり前の感覚で

荼毘にするのは可哀想とすら思うらしい。

 

視点はころころ変わって、多いのは村唯一の病院の医師である

尾崎先生と、お寺の副住職の静信さん。

あとは都会から引っ越してきて村が大嫌いな高校生の

夏野くん。(アニメ版では夏野くんが主人公)

 

読んでたら、いきなり視点が他の人に変わってたりするけど

全然混乱しないで読めるので小野不由美さんはすごい。

 

一巻では引っ越してきた人たちが吸血鬼ってことはまだ判明しなくて

「貧血にしか思えないのに何か人がめっちゃ死ぬんだけど・・・?」

「家族全員順番に死んだりしてるし、もしや伝染病じゃね???」

ってところで終わってる。

 

アニメ版だとさらっと流してたけど、小説だと医者の尾崎先生が

「娘の様子がおかしいから診てくれ」って言われて診察し、

「ただの貧血だから心配ないよ」って言って家族も安心してたのに

3日後にその子が死んじゃったところとか普通にズシンときた。

しかも死んだの高校生の女の子だし。恵ちゃん。

(恵ちゃんはアニメ版だと後々すごい怖いシーンを生み出してくれる)

 

一番最高!と思ったところは、実の兄と息子が死んでしまったおばあちゃんが

お通夜ですっかり意気消沈してしまっているのを見て、静信さんが

「泣き止まなくては、早く。――泣く子のところに鬼が来るぞ」

って思ったところ。思うだけじゃなくて言ってやれよ。

案の定このおばあちゃんもすぐに死んでしまいました。

 

ちなみにこの静信さんは、大学生の頃に 何も辛いことはなかったし

死にたいとも思ってなかったけど、ふと自殺がしてみたくなって

お風呂で手首切って病院に運ばれたという中々ぶっ飛んだ人です。

寺の跡取りが自殺未遂したって噂はすぐに村に広まった。

 

あと、静信さんは件の引っ越してきた一家の娘、沙子ちゃん13歳と

仲良くなります。伝染病を疑って奔走する尾崎先生と静信さんですが

静信さんが元凶と仲良しこよししてるっていうね。

 

二巻でどうなるのか楽しみです。

死んでしまった高校生の女の子、恵ちゃんの見せ場があるといいな。

 

 おわり。