ドリームの日記

社会の荒波に負けた。

恐怖小説キリカを読んだ

澤村伊智さんの長編3作目、「恐怖小説キリカ」を読みました。

澤村さんの1作目「ぼぎわんが、来る」も2作目の「ずうのめ人形」も大好きだったので、「恐怖小説キリカ」は書店で予約してゲットしていました。読み終わったのは結構前なので少し曖昧です。

 

ぼぎわん・ずうのめは、ちゃんとオバケが出てくるホラー小説です。わたしは純粋なホラーが好きなのでとってもとっても嬉しかった。

今回のキリカは、「人間が一番怖い」系の話です。個人的には、人間が怖い系を読んでると「なんだこいつ本当に日本語が通じねえのか。説得できねえんなら殺される前に殺せ!!!」となってしまうので少し苦手です。感情移入が激しいので。

 

でも澤村さんの作品は全て読んでおきたいので買っちゃった。

そうしたらね、主人公が「澤村電磁」と言うペンネームで投稿した「ぼぎわん」が、日本ホラー小説大賞を取るところから始まるんだよ。「これまんま澤村さんのお話やーん!楽しい!」ってなりました。

 

すごいね、現実の出来事を反映してるんだよ。澤村さんがもともと「伊智」じゃなくて「電磁」で投稿していたのは知っていたんだけど、何でペンネーム変更されたのかは知らなくて。でも、こういう理由だったんだなとわかった。それも楽しい。

編集の人との会話とか、ほとんどそのまんまなんじゃないの?と思えてくる。

 

ストーリーとしては、澤村さんは働きながら趣味で「小説を書くぞ会」というのに参加している。(本当にこの会もあるらしい)

そこで書いた小説「ぼぎわん」をホラー小説大賞に応募したら、大賞を取って出版が決定した。それを会のみんなに報告したら、その中の1人が「こいつは俺が育てた。これからもプロデュースする。こいつのことは俺が一番わかってる」みたいになっちゃって、まじもののストーカー化する・・・という感じ。

 

タイトルにもなっている「キリカ」は、澤村さんの奥さん。

2人目の奥さんなんだけど、澤村さんはそれをみんなに言っていないので、ストーカーももちろんキリカの存在を知らず、「離婚して闇落ちしたからこそ、こんな素晴らしいものが書けた。前妻への悪意がつまってる。前妻は今すぐ謝罪しろ!!」みたいなテンションになります。

 

そしてキリカの存在を知ってしまったストーカーは、「嫁殺すわ」となって家に押しかけちゃう。これだけでまぁまぁ怖いしむかつく。キリカも怖い思いする。澤村さんもキリカも絶体絶命!!!みたいになるんだけど、突如ストーカーが「嫁はどこにいる?お前は誰と話しているんだ???」と言い出す。キリカは(え?わたし目の前にいるけど、どゆこと???)となる。ストーカーにキリカは見えていない。

 

ほえ~~~~!!!そっち!!!となりました。どうりで話が進むペースに比べて、残りページが多すぎると思った。

作中の澤村さんは、人を殺さなきゃ耐えられない!!でも殺さないで生きていけるなら、そっちの方がいいな って癖の方で、前の奥さんと結婚してた時だけは殺人衝動がなかった。でも離婚が決まって、やばい!また殺人衝動でる!平穏に暮らしたいのに!となり、でも再婚はできそうにない、どうしよ・・・あっ!脳内で奥さん作ればええや~~~ん!となり、キリカを作り出しました。発想がやばい。

脳内奥さんは、最初は妄想でしかなかったのに、いつの間にか勝手に動き出すようになったと。ただ、キリカが喋る声は、澤村さんの口から裏声となって出てくるので、外では注意が必要。妄想の奥さんなので、キリカのことは誰にも言ってなかったということですね。キリカ自身も、自分が妄想の産物だなんて知りませんでした。

 

ただ、キリカは案外あっさりそれを受け入れてた。

ストーカーは澤村さんがパッと殺して死体をバラバラにしてバレないように処理し、それ以降殺人を繰り返すようになるんだけど、キリカはそれを止めようとする。それで自分がどこまで自由に行動できるのか色々と実験するんだよね。

自分なら、(えー?わたし妄想なの?命とは・・・一体・・・)となってしょんぼりすると思うので、キリカはすごいです。

というか、メンタル割と弱くて相手に強く言えないというイメージがあったので、キリカいきなりどうした・・・と思いました。澤村さんを止めたい一心で頑張ったのかね。

 

後半になって澤村さんのジェノサイドが加速した後も、これ現実の会話なんだろうなあと思うところはいくつかあるし、小説を書くぞ会のメンバーか書いた小説も使われたりしているので、だんだん「これ本当にフィクションなんだろうな・・・」という気持ちになってきます。こわいね。

 

最後までハラハラ ドキドキなのでぜひ読んでね。キリカ頑張れぇ~となるから。

 

とてもおもしろくて大好き!と思ったし、わたしが読んだ中での話だけど、すごい新しいなと思った。けど、やっぱりオバケが出るお話を書いてほしいな。次回作ではオバケが出てくるらしいので、楽しみです。

 

読んだ人はわかると思うけど、わたしが1ヶ月以内に死んだら澤村さんに殺されたと思ってください。

終わり。