星占術殺人事件を読んだ
先日、島田荘司さんの星占術殺人事件を読みました。
この本を貸してくれた人には「殺人事件が3件起きるんだけど、犯人が全くわからない。第三の殺人を起こすのはこいつしかいないだろ!ってやつは、第一の殺人でとっくに死んでる。消去法で犯人を絞り込むのすら無理。でも、ちゃんと読んだらわかるようになってる」と言われていました。
わたしはもともと「トリックわかったっぴー!」とかできたことないので、そんなんもう無理じゃん絶対わからないじゃん・・・と負け戦に出たわけです。
でも、トリックわからなくても犯人当てるくらいはしたいなぁと思ってました。小説を読んでいたら、「全然わかんないけど、たぶん犯人こいつじゃね?」ってことありません?
小説冒頭は、わりと長いイカれ親父の手記で始まります。
娘と親戚の女の子6人を殺してバラバラにして、それぞれのパーツを錬金術で組み合わせて「アゾート」を作る!とても美しい生き物がうまれる!おいら絶対にアゾート作る!って内容です。まじもののテンションでアゾート計画を長々と語られるのは結構きついです。こいつは魚座なのでこうやって殺すのがいい。残りのパーツはどこどこに捨てるのが最適。みたいなのが永遠続きます。
読み始めてさっそく「?こいつ頭イカれてんな?」となります。
で、そのイカれ親父が密室で殺され、イカれ親父の義理の娘(結婚してすでに家は出ている。未亡人)が自宅で殺され、6人の娘と親戚の女の子が行方不明に。そしてイカれ親父の手記が見付かり、アゾート計画が知れわたります。そんで6人の娘たちがそれぞれ別々の山でパーツが足らない状態で見付かりました。頭がないとか、胸部分がないとか。
こりゃあ完璧アゾート作られてるよ~~~!となるんですけど、アゾート計画を立てていた平吉(イカれ親父)は、6人が行方不明になる前に殺されてるし、じゃあ平吉にアゾート計画について聞いた人が犯人?でも平吉ぼっちだから友達いねえよ?ってなります。
そもそも平吉殺しも密室で行われ、意味のわからない足跡が残されていたりして完璧に意味不明なのです。
それから40年、この謎は解かれずに、マニアがアゾートを探したりしてました。(アゾートが本当に作られたかどうかもマニアが好む争点)
そんで、出てくるのが御手洗さんです。
御手洗さんは星占術をやっている人で、そこに飯田さんという女性が相談に来ます。まぁ、いろいろ訳あって、この殺人事件を解決しておくんなまし!という相談です。
御手洗さんは、唯一の友人・石岡くん(結構マニアでこの殺人事件に詳しい)と一緒に事件解決に乗り出すわけです。
前半は石岡くんが事件について説明して、御手洗さんは「それはこういうトリックだね。ふん」みたいに言うことが多いです。
お話が進むにつれて、御手洗さんが「京都に行くぞ!」と言い出す。手がかりを探すわけですね。なぜなら飯田さんのお兄さんがやって来て、言い争いになった挙句、御手洗さんが「一週間で犯人を見つけてやる!」と言ってしまったので。
実は、飯田さんのお父さんは警察官で、事件当時いろいろと犯人に利用され、死体を日本各地の山中に埋めていたのです。利用されたといっても、実際に犯人には会っていません。そのことを示した手記を残したまま亡くなり、それを飯田さんが見つけて「父の無念を晴らして!(旦那が警察官なのであわよくば手柄をくれ!)」という流れだったのです。
ところが、飯田さんのお兄さんも警察官だったわけで、御手洗さんに重要な記載のある手記が渡ったことを知り、「それを返せ素人!警察が捜査するんだ黙ってろ!」と怒鳴り込んできました。そんなこんなで、御手洗さんが一週間で解決するからその間だけは待っていろと啖呵を切ったわけです。
京都に行って、いろいろと動きが出てからが個人的には好きだったかな。
今起きている殺人事件じゃなくて、40年も昔の事件を解決する、というのは私の中では新鮮でおもしろかった。
御手洗さんと石岡くんの掛け合いもとてもおもしろくて好き。ただ、口調が同じなので何回も「これどっちが喋ってんの?」となった。ゆっくり注意して読めば大丈夫だけど。バーっと一気は読めないのがもどかしかったよ。
あと、御手洗さんは奇行が激しく、それに対する石岡さんの反応というか心の声が完璧にツボでした。奇行じゃないけど、「御手洗は犬に好かれる性質らしい。同類と思われているのだろう」とか最高。そんな普通のテンションで最上級のディスを入れなくても。
御手洗さんが発狂して公園内を走り出し、石岡くんがそれを追いかけ、近くにいたカップルにドン引きされ、最終的に走り出した位置と同じ場所に戻ってきたところは普通に声に出して笑った。やっぱりさ、名探偵は少し頭のおかしい人がいいよね。
で、犯人がわかった御手洗さんは、石岡君を京都に残して犯人を捜しに行く。40年たってるのに、居場所の目処がついたらしい。そして本当に見つけちゃうんですよ。
呼び出された石岡君。目の前にいるのは女性。「こちらが犯人だよ」と紹介されるも、「誰???」って感じになる。もちろんわたしも「お前誰だよ」ってなってました。女?女で事件に関わってて存命なのっていたっけ?誰?となる。
犯人とかトリックとか、ここで説明したいんだけど、無理ですわ。とにかく犯人のやることが大胆すぎた。ていうか、小説内の構成もうますぎて完璧に騙された。読みはじめから騙されてた。叙述~~~~!ふぅ~~~!
十角館の殺人もそうだったけど、まじで言葉にならない声が出るんだよね。
あ~~~~~!あーーーーーーー!!!って、本当に言っちゃうの。心の声じゃなくて、まじで言ってるからね。奇行というものに関しては名探偵の才能があるのかもしれない。
今後ね、推理小説は前提とか全てを疑いながら読もうと思いました。
終わり。