ドリームの日記

社会の荒波に負けた。

細けえこたぁいいんだ とにかく痛快な『ミッドナイト・ラン!』を読んでくれ

先月 狂ったようにホラー小説を読みまくっていたらなんか棚から人形が何度も落ちたり押入れから異音がしたりしてめっちゃ怖くなった。もちろん心霊現象というわけではなく、「わたしの精神が心霊現象が起きてると思ってしまう現象」に陥っているだけなのだけど、本気で怖くなってきたので少しホラー小説を封印することにしました。怖くておもしろい話はメンタルを傾けてくる。あーあ。

 

とにかく明るいものを見たほうがいいかなと思って書店でなんか良い感じのポップが書かれていた 樋口明雄さんの『ミッドナイト・ラン!』を買いました。一言で言えば、とんでもねえジェットコースター小説です。勢い。冷静に「そんな訳ねえだろ」みたいなところもあるけど そんな細けえこたぁどうでもいいんだ。仮想・日本だと思って楽しんでくれや!

 

ミッドナイト・ラン! (講談社文庫)

ミッドナイト・ラン! (講談社文庫)

 

 

 

あらすじは、ネットを通じて集まった5人の男女が集団自殺しようと山に入り 車のドアにガムテープ貼って練炭用意して「さあいよいよ睡眠薬飲むぞ!」ってタイミングでヤクザに追われてる少女が来て思わず一緒に逃げるっていう。少女を「まあもう大丈夫でしょ」って場所で車からおろしてあげて、「で、ここからどうする? もっかい死ぬ準備するん?」みたいになってたら、なぜかその少女誘拐の冤罪で捕まりそうになり、また逃げる。少女を追ってる謎のヤクザからも追われる。逃げる。カーチェイスからのカーチェイス。死んでもいいけど、疑いをはらしてから死ぬべ! となって奔走する話です。

 

 自殺したい集団も、「余命いくばくもない。つらいから死ぬ」みたいな人から「生きてる意味がわからないから死のうかな~って」みたいな若者までいろいろいるんですよね。よくこの5人一緒に逃亡してて殴りあわないなってくらい性格も価値観もバラバラなんですけど、そのアンバランスさがもう愛おしい。極度のアル中でいろいろやらかして死ぬことにしたタクシー運転手が、カーチェイスの際に「冗談でタクシー運転手ができるかっ!」って叫んだのがまじで意味がわからなくて最高。その後いろいろあってタクシーが空を飛ぶ。アメリカンドリーム~~~~~~~~~

 

ラジオでみんな応援してる様子とか「絶対そうはならねえだろ」と思うけど、仮想・日本なのでなる。そうなる社会だったらとても素敵というか絶対ダメだけど楽しいよね。祭りじゃん。ただ「バンディッツ」って名前だけはダサい。センスよ~。

 

あとすごい好きだったのは、ふっきれたヤクザ連中。絶妙にみんな頭悪くて好き。「加藤、撃ちまーーーーーす!」で、もうわたしの中の痛快メーターがぶっちぎり。何この悪い奴なのに悪い奴なのに感。映画ジャイアン。映画ロケット団。いつか言いたい。「中野、撃ちまーーーーーーーす!」