斜め屋敷の犯罪を読んだ
島田荘司さんの斜め屋敷の犯罪を読みました。
前に感想を書いた、星占術殺人事件のシリーズです。
御手洗さんと石岡くんにまた会えたよ!!!
登場するのが話の後半なので、御手洗シリーズということを忘れかけてたけど、ちゃんと出てきた! よかった!
ハマーディーゼルという大企業の社長・浜本さんが道楽で建てた「流水館」が舞台です。
タイトルにある通り、斜めの屋敷。壁や床が全て5度ほど傾斜していて、慣れていない人は転んだりするらしい。浜本さんはそれを見て楽しむ。悪趣味なじじいにも程があるだろ。
12月25日、浜本さんは提携先の企業の社長・菊岡さんとその愛人、運転手と従業員夫婦を屋敷に招待しました。他にも浜本さんの娘・英子(美人)とか英子のボーイフレンド候補とかがいた。
そんで人が死ぬ。館といえば、密室殺人だよね!!!!! 小説読んでて密室の謎を自力で解けたことが一度もない!
菊岡さんについて来ていた運転手の上田さんが、部屋で殺されているのが見付かるわけですよ。しかも変なポーズで死んでんの。おちゃめ。
でも上田さんの場合、密室だったってことより、屋敷にいたみんなに上田さんを殺す動機がないことのほうが問題視されてた。
もちろん警察も駆けつけるんだけど、上田さんぼっちの空気だったので、誰にも恨まれてなかったし会話したことのある人すら少なかった。寝食共にしてんだから、もうちょっと興味持ってあげてよ。
この時、外には雪が積もっていたのに足跡がない。あと雪に謎の木の棒が刺さっている。浜本さんが趣味で買っていたゴーレムがバラバラの状態で外に落ちている、などの意味わからん事象がありました。
ちなみに、足跡は屋根から雪を落として消したんだってよ。北海道出身としては気付きたかったトリックでした。
でも、屋根から雪落としたらその場所だけ目立つと思うんだけど! と少し思った。まぁ、みんな目がポンコツだったのでしょう。
木の棒は、「ここからここまでの間に雪を落とす」っていう目印。ゴーレムは、バラバラにしてその上を歩いた。絶対沈むけどな。そんなに積もってなかったのかしら。
警察も全くわからんち! な状態なので屋敷に泊まり込みすることに。そんで警察がいるにも関わらず、菊岡さんがまたも密室状態の部屋で殺されます。
ここら辺で、「トリックは一個もわからんけど、たぶん犯人こいつやろ」って人が出てきます。小説って基本的に意味のない会話はあんまりないんだけど、「こいつ犯人じゃん?」って人と菊岡さんが、全然意味のない内容に思える会話をしていたので。たぶんここら辺が動機なんだろうなぁと思った。ら、本当にそうだったので笑った。
あと、あからさまに怪しい行動をそのまま書いている。ので、読んでると絶対犯人はわかります。でもトリックは一個もわからない。それがもどかしくておもしろかった~~~。ハウダニットのお手本のようなお話!
実際のトリックは、力技がすぎた。
屋敷が斜めになっているのは菊岡さんを殺すためだったんだけど、(つまり屋敷を建てるときから菊岡さんを殺すことだけ考えてた)(つまり犯人は浜本さん)斜めにしたからこそできた殺害方法っていうのが、まじで笑うのでぜひ読んでほしい。
「嘘でしょ!?」って言いながら笑うので。そんなんありかよ~~~本当に死ぬ? それで死ぬ? ってなる。でもみんな本気だから。本気で殺したの。
ちなみに上田さんですが、死ぬ必要は全然ありません。かわいそうに。
浜本さんは菊岡さんを殺したい。でも上田さんも菊岡さんを殺そうとしている。くそ野郎! 先に貴様を殺してくれる! という感じです。
そんな物騒な人ばかりが1つの屋敷に集まることある? こわい世の中になったものだよ。
上田さんがとっていた変なポーズは、一応ダイイングメッセージでした。ただ、高度すぎて御手洗さん以外には理解されなかった。みんなはもし殺されそうになったら、変な暗号にしないで素直に血で名前を書こうな!
あと、御手洗さんの変人ぶりが際立っていて、屋敷の人々に邪険にされているのも愛らしいのでそれも楽しんでね。石岡くんが不憫でならないよ!
最後に、クミ。
菊岡さんの秘書ということになってるけど、本当は愛人のクミがおもしろかった。
菊岡さんのことを「パパ」と呼んで怒られるクミ。菊岡さんの死体を発見して、みんなの前で「パパ!」と叫んでしまうクミ。
「『パパと呼ぶんじゃない!』パパは怒った」と言う感じで、地の文もパパって言うんだよ。誰目線なんだよって思って笑った。
エンタメとしても楽しめるので読んでみてね。おわり。