ドリームの日記

社会の荒波に負けた。

辻村深月『かがみの孤城』読みました 最高のシーンベスト5を勝手に発表したい

これはもう本当に何度も言ってるんですけど、辻村深月さんの青春小説 is 最高なんですよ。最高。SAIKO

青春っていうか、学生っていうか、子どもっていうか・・・。そもそもわたしのドンピシャの好みに「大人には信じてもらえない状況で子どもたちがめちゃくちゃ頑張る」っていうのがありまして。何言ってるかわかんないかもしれないんですけど、この『かがみの孤城』がまさにそれなんですよ。

ほかに例を出せば、あの、少女マンガで実写映画化された際にHyde様が出演された『下弦の月』とか、小路幸也さんの『そこへ届くのは僕たちの声』とか、もうすぐ続編が公開されるホラー映画『IT』(続編は大人になっちゃいますけど)とか、もうなんか無限にいろいろ出てくるんですけど、辻村深月さんはまじでその設定のあれこれがうますぎる。あれこれて。あれこれについてもいろいろ話したいんですけどね。『名前探しの放課後』とか『冷たい校舎の時は止まる』とか!!!!! あーーーーーー好き~~~~~!!!! でも今度にします。なぜなら今日は『かがみの孤城』の話がしたいから。

 

主人公は、中学一年生のこころちゃん。絶賛不登校中です。もうね、ひどいんだ。学校のやつがよお、ひでえの。いじめですよいじめ。もうさ、これはあんまり深く話したくない。つらいもん。読んでてつらかった。あーーーーーー!!!! 腹が立つね!!!!!!! わたしが殴りに行ってやろうか!? な、こころちゃん、な? 真田さんのことはわたしがグーでいろいろ、あれ、やっとくから、大丈夫だから!

 

それでね、自室に引きこもってたらあの~唐突に姿見がパアーーーー光り出してズズズっと中に引きずり込まれるんですよ。いいよね、ファンタジー系の鏡から別世界行くやつ。わたしもやりてえ。鏡と押入れは別世界につながりやすいですよね。

で、鏡とつながってたのは城なんですよ。城。いろいろなんやかんやあって、城には7人の中学生が集まりました。その7人は毎日昼間から夕方まで城にいれて、城のどこかに隠されてる鍵を探す。鍵を見つけた人だけ、お願いが何でも一個叶えてもらえるって話です。

 

そんでこっからはメタメタにネタバレするんですけど、するんですけど!!!! みんな最高かよ~~~~~~~ イケメンのリオンくんを除いた全員が引きこもりなんですけど、みんな最高かよ~~~~~~ おい~~~~~~ だんだん親睦を深めていく過程、まじで好き。ここで唐突にわたしの好きなシーンベスト3発表させてくれ。いや3じゃ足りねえ。ベスト5にする。

5位、なんだろ、5位はね、あれ、「こころ! 助けて!」のところです。

 

この城にはルールがあって、ぜったいに17時までに帰らないといけない。夜の間は、城にいちゃいけないんです。で、帰らなかったらその子は狼に食われて、そんでその日城に来てたほかの人も連帯責任ってことで食われるっていう結構えげつないルール。ちなみに城には毎日行かなくてもいい。行きたかったら好きな時間に行っていい。ただし、17時にはぜったいに帰る。

で、そんなルールがあるってことはですよ。ぜったいにルール破るやつが出てきちゃうんですよね。なぜなら小説だから。

 

7人の子どもたちは、リオンくん以外はみんなそれぞれ事情があって学校に行ってません。その中でマジでえげつない事情を抱えてるのがアキという中学3年生の子で、その子はもう現実の世界に帰りたくないわけです。だから、17時になってもお城に残っちゃった。それで、狼に食べられちゃいました。

 

その日、たまたまこころちゃんはお城に行ってなかったんです。でも、ほかのみんなはお城にいた。だから、みんなも連帯責任で狼に食べられちゃうんです。こころちゃんが部屋の鏡をみると、ぐちゃぐちゃに割れてて、その鏡の中からみんなの声がするわけですよ。「こころ! 助けて!」

 

どうやって助けるかっていうと、願いを叶える鍵です。それを見つけて、「アキのルール違反をなかったことにしてください」って頼む。そうしたら食べられちゃったアキも、みんなも戻ってくる。だから鍵を探さなきゃいけない。一人で。あと数時間の間に。(いろいろあって制限時間もある)最高の盛り上がり。小説として、最高の、盛り、上がり。好き!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

しかもここの何が良いって、鍵を使って願いを叶えたら、みんながこのお城で過ごした記憶が消えちゃうんですよ。全員から。みんな、ここで会えるのを支えにしていたし、とても大切なお友だちになっていたので、「じゃあ、鍵は見つけても願いは叶えない」って決めてたんです。でも、アキを助けるためにそれがパアです。それに対して、アキとときどき喧嘩(まではいかないけど何かギクシャクしたり)してたフウカが、独白で「本当に許せない」っていうんです。記憶をなくしたくないから。なのに!!!! 「でも、アキを絶対に助けて」って言うんですよ!!!!!! もう今これ書いてて少し泣けてきた。最高のシーン。これを言うのがフウカってのがまた最高。わかるだろ?

 

 

4位はね、4位は、マサムネが「あいつらが来ないはずがない」って泣くところです!!!!!!!!! マサムネ、ちょう好き。

マサムネはね、憎たらしい男の子なんですよ。「俺頭良いから学校行く必要ないんだよね」って感じの。でもね、良い子なんです。こころちゃんが最初に心開いたのがマサムネなんじゃないかな。不器用だけどすごく優しいっていう最強の設定を持ってるんですマサムネは。ウレシノが頑張って学校行ってみたものの、いじめっ子にボコボコにされて帰ってきたときは「おつかれさま」って声をかけるような子なんです。

 

そんなマサムネがね、どうしても1日、学校に行かなきゃいけなくなった。でも怖くていけない、だからみんなに、その日だけ学校に来てくれってお願いするんです。あ、言い忘れてましたけどリオンくんを除く6人は同じ中学校だったんですよ。リオンくんも、もともとはその中学に通うはずだったっていう。

 

で、みんなそれぞれ学校に行きたくない理由はあるんですけど、マサムネのために、行くって約束するんです。教室にいれないなら保健室に。保健室も無理だと思ったら城に逃げるって約束。こころちゃんも頑張って行くんです。本当に頑張った。

でも、保健室に行っても誰もいない。先生に聞いても、そんな生徒いないって言われちゃいました。あーあ!!!!! 読んでる人みんなこの展開までに薄々気付いてたと思うけど、この子たち、生きてる時代が違うんですよね。

 

でも本人たちはそんなこと思いつかないですから。みんな城に集まって、「なんで来なかったの! わたしは行ったのに!」みたいになるんです。で、お互いに「いやお前らが来なかったんやんけ」ってなる。そこで本当にみんな行ってたところがまた泣けるんですけど。まじでみんなマサムネのために学校に行ったんですよ・・・。

マサムネはね、そのまま城に来なくなったんですよ。みんなは「マサムネ、裏切られたと思ったんじゃ・・・」と心配になる。で、マサムネがやっと城に現れてね、みんな「マサムネ! わたしたち行ったんだよ!」みたいに言ったら、「わかってるよ。お前たちが来ないわけないだろ」って言うんです。普通に。

もう、マサムネがみんなを信じてるのがちょう良い。

 

でも、学校に行ったときのマサムネ、実はめっちゃ泣いてるんです。保健室で泣きながら「あいつらが来ないはずがないんだ」って言うんですよ。あーーー思い出し泣きしてきた。最高。最高のシーン。第4位です。

 

3位はね、ちょっとつらいシーンなんですけど、ウレシノの「みんな僕にはやっていいと思ってるんだ」的なセリフのところです。

 

ウレシノはね、小太りの男の子で、めちゃくちゃ惚れっぽくて、城にいるアキ、こころちゃん、フウカ全員のことを順番に好きになります。こころちゃんはそれが嫌だったし、みんなはウレシノのことをからかいます。それに対し、ウレシノは何も「嫌だ」とか言わなかったんですね。一緒に笑ってた。

でも、一度ウレシノがブチ切れまして。「みんなそれぞれ恋愛していて、それは尊重されているのに、僕の恋愛だけは蔑ろにしていいって思ってるんだ」「笑いものにしていいと思ってる」みたいなことを言うんです。「みんな、僕にはやっていいと思ってる」って。はっとさせられますよね。そういうこと、あると思うし。こころちゃんもそれを聞いて「確かにそう思ってた」って愕然とするんです。良いシーンです。

 

2位、2位はね、またウレシノなんですけど、校門の前でおにぎりを食べるシーンです。

 

マサムネのためにみんな学校に行くじゃないですか。でもそれぞれの生きてる時代が違うので、曜日とか違うんですよね。ウレシノの時代では、その日は休日だったんです。でもウレシノは、みんなが来るかもしれないからって校門の前で待ってます。食いしん坊なのでおにぎりも食べます。それをたまたま見た同級生に笑われたりするんですけど、ウレシノは「空がきれいだなあ」とか「おにぎりがおいしいなあ」ってだけ考えるんです。それで「みんなにも伝えたいな」みたいに思うところがあって、わたしはそこで「いや天使?」と思った。

ウレシノって最初ちょっとうざいんですよ。コロコロコロコロ人のこと好きになって、こころちゃんはそれで傷つくし、ウレシノは空気読めないところあるし。でも、そう思ってた自分を殴りたい。ウレシノはマサムネのために学校に来て、マサムネたちがいなくても全然気にしなくて、通りすがりの同級生にバカにされても「空がきれいだな」「みんなに伝えたいな」って思える子なんです。大好き!!!!!!!!!!!!!!

 

そんで一位はね、一位は!!!! こころちゃんが喜多嶋先生に「あの子たちも助けてあげて」って思うところです。しゅき~~~~~~~!!!

 

喜多嶋先生ってのは、心の家というフリースクールの先生です。こころちゃんは学校には通えないけど、フリースクールなら・・・! みたいな感じで行こうとしてました。ウレシノも喜多嶋先生のところに通ってます。この、喜多嶋先生ってのが本当に素晴らしい人なんです。こころちゃんは同じクラスの中心的な女子にいじめられていて、担任の先生はそれを信じてないんですよね。「真田も悪気はなかったから~」みたいな。はあ? ぶん殴るぞ、おい。

 

でも、喜多嶋先生は信じてくれるんです。こころちゃんは喜多嶋先生に救われたときに、城のみんなを思い出します。ウレシノが喜多嶋先生に助けられてることは知っていたので、ほかの、アキたちのことを思い出して、「あの子たちにも寄り添ってあげて」「あの子たちも助けてあげて」って思うんです。

優しすぎない??????????????? はあ、すき。最高のシーン。まじで最&高。SAIKO

 

まあ、それくらい素晴らしい方なんです喜多嶋先生は。そんな喜多嶋先生の正体がわかったときは興奮しましたね。わたし、それは気付けなかった。最高だった。安心した。ちゃんと大人になったんだなあ。

 

もう最高の高なんだ。ほかにもいろいろ良いシーンがあるんだ。良いセリフもあるんだ。まじで最高&最高のかがみの孤城、ぜったい読んでくれよな。読んだらわたしと酒飲みながら話そう。頼む。

かがみの孤城

かがみの孤城