ドリームの日記

社会の荒波に負けた。

途中で一瞬「茶番かよ」とか思った自分殴らせてくれ 道尾秀介『カラスの親指』読みました

道尾秀介さんさ、あのー、わたしあれ、『向日葵の咲かない夏』で(んーーー???????)ってなって以来読んでなかったんですよ。ちょっと理解できなかったので。今久しぶりに読んだらおもしろいんかな。

まあそんなことはいいんだ。いいんだそれは。『カラスの親指』ですよ。

あれ、みんな大好き阿部寛さんが主演で映画化されてたみたいですから、読んでる人多いかもしれないんですけど、わたし恥ずかしながら知らなかったので。もうちょっと興奮してるんで聞いてください。

避けてきた道尾秀介さんを読んだのは、人におすすめしてもらったからです。(道尾秀介か~~~~まあ、おすすめしてくれたしなあ、読みますか)みたいなね、そんなテンションでさ、買ったわけですよ。は? もう殴らせてくれあのときの自分を。

 

めっちゃ簡単にあらすじ説明すると、

詐欺師の2人組(タケさんとテツさん)がスリで生計立ててる18歳? だっけ? の女の子(まひろ)とひょんなことから共に暮らし始めることに。まひろの姉(やひろ)とその彼氏(貫太郎)もそこに加わる。

 

タケさんはもともと普通のサラリーマンだったが、よくある連帯保証人の例のアレでとんでもなきことになって借金地獄に。闇金にゴリゴリやられて、最終的にその闇金で働いていた。そんでシングルマザーの取立てをやってたらその人が自殺しちゃって、罪悪感とかそんなんから闇金を裏切って警察に突き出します。いろんな証拠持ってってね。

 

そしたら報復で家に火つけられて娘死ぬっていう、もうガッツリ重い話出てきて気分ギャン沈みした。ありとあらゆるフィクション、子どもと犬猫を殺さないでほしい。

 

それでもう真っ当に生きれなくなり詐欺師に・・・そしていろいろあってテツさんと共に詐欺を・・・いつの間にかまひろたちとも暮らしてそれなりに楽しい・・・猫(トサカ)も加わってかわいい・・・みたいなところにね!!!!! タケさんに報復したい闇金集団がまた現れましてね!!!!

 

ひろたちは、お母さんが闇金が原因で自殺してるんです。テツさんも、闇金が原因で奥さん自殺してる。しかも、どれもこれもタケさんの娘殺したやつらと同じっていう。せ、世間狭くね~~~~~~~~!?!?!?!?

 

そんでまた逃げなきゃってなったんですけど、もうここは! もうあいつらやっちまいましょうと! ここでやり返してやるぞと! こちとら詐欺師だぞと! あいつらの現金、ぜ~んぶ奪い取ってやりましょうと! そんなお話です。ワクワクするね!!!

 

もうさ、あの~~~悲しいし爽快だし騙されるしで楽しい! 楽しいんだ! ネタバレさせてくれ!!!!

 

 

 

まひろとやひろのママを自殺させた原因ってタケさんなんですけど、それをね、いつバレるんだろうともうずっとそればっか考えちゃってさ! どうなるの!!! まひろは自殺させた男に会ったら殺すかもねとか言うし! バレずにこのまま平和に暮らしてほしい・・・でも絶対バレるじゃん! なぜなら小説だから。

 

そんでさ、闇金集団に仕返ししてやろうとなったときにさ、貫太郎の態度がおかしくなるんですね。明らかに何かに怯えてる態度。で、タケさんたちは「こいつビビっちまったな」「まあ、貫太郎だけ闇金とは無関係だし無理強いはできない」みたいになって貫太郎に「参加しなくてもいいぞ」って言うんですよ。でも貫太郎は「僕は無関係じゃありません!」って断固として参加表明するんですよね。

 

で、その貫太郎ってのはデブのいじめられっ子で やひろにゾッコンのしょーもない男なんですけど、でもめっちゃ良いの。全然かっこよくないのに良いの。その貫太郎の独白シーンで「なんで引き受けてしまったんだろう・・・僕にはできるわけがない!!」みたいなの言ってるんですけど、これ、絶対闇金側に何か言われたなと思ったんですよ。タケさんたち裏切らなきゃやひろ殺すぞみたいなの。

 

と思ったらさ、まじ茶番。CHABAN。作戦の中で爆竹バーーンやるところがあるんですけど、貫太郎はいじめられてたときのトラウマで、爆竹が怖いってんでずっとビビってたわけです。そんで作戦が成功して金持ち出したぞ! ってなったら「実際どうってことないですね、爆竹」みたいな感じでひょうひょうとしてんの。タケさんたちも「お、お前ビビってたんじゃなかったのかよ~~~~」みたいな。え、大学生のつまらない突っ込み???

 

いや、いいんだ。貫太郎が爆竹怖いことはいいし、それを克服できたのは嬉しいし、いじめ、ダメ、絶対。腹が立ったのは、「何かピンチなこと起きますよ~~~!」みたいなフラグ立てておいて、それがぜんっっっっっっっぜん何でもないこと! 「は、は、はぁ~~~~~~!?!?!? 茶番かよ ここまで来てこんな茶番かよ!?!?!?」と2、3回クッションを殴りましたねわたしは。

 

と、思ったら!!! と思ったらですよ。普通に作戦成功してなかったっていうね。闇金の連中に作戦ちょんバレしてた。でもあえて泳がせて、作戦成功したとみせかけられてて、最後に全員でとっつかまった。ひゅう。闇金のボスが「お前、うまくいきすぎてるとは思わなかったのか」って言って、タケさんが「実は、思っていた」ってなったのがすげー好き。人間、良い偶然がいくつも続いてもなかなか疑えないものですよね。

 

いや~~~、茶番とか思ってまじすまんかった。おもろいやんけ~~~がっはっは!!! とか思ってたらさ、なんか闇金連中、普通に逃がしてくれるの。「いやもういいよ。帰れば?」みたいな感じで。

え、マジ??? は??? なんで??? 逃がす? いやタケさんたちに無事でいてほしいわたしとしては嬉しいけど、いやお前、そんなことある??? と思ってたら、最後にタケさんがまひろたちのお母さん自殺させたって暴露されて、無事に逃げれるとかすぐどうでもよくなっちゃった。

 

でもさ、それもさ、なんかすぐに「わたしたち、知ってたよ」とか言い出すの。why??? 一緒に暮らすうちに、気付いたと。「わたしたちの結論は、今さらタケさんを恨めない」

は、はぁ~~~~~!? いや、いや良かった。良かったよ・・・でもなんかさ~~~!!!! なんかなんかさ!!! 釈然としないよね。 タケさんもタケさんでさ、「この作戦が失敗して良かった。じゃないと全員前に進めなかった」とか心の中で考えたりすんの。良い話ですね。良い話だ~~~~~~~!!! なんかうまくいきすぎてません???? 

 

もう本当にうまくいきるぎてるんですよね。

「お前、うまくいきすぎてるとは思わなかったのか」「実は、思っていた」

これですよ!!!

 

全部嘘だったんですよね。まじ最高か????? もう最&高。SAIKO。

全部、テツさんのつくった嘘だったんです。もう読んでなかったらこの説明意味わかんないと思うんですけど、テツさん実はまひろたちのお父さんで(小さい頃に離婚してた)、まひろたちに幸せになってほしくて、お母さんを自殺させたタケさんのことも許していて、タケさんにも幸せになってほしくて、それでたまたまに見せかけてタケさんと出会い、たまたまに見せかけてまひろと出会い、そんでどっかの劇団員を雇って闇金業者のフリをさせて(闇金に立ち向かったからこそ一致団結した)、良いタイミングでまひろたちがタケさんの正体に気付くように動き、最後にわざと作戦を失敗させて、タケさんの正体をバラし、でもわたしたちタケさんのこと恨めない! これからはそれぞれまともに生きようね!!! っていう都合良い終わりになるように最初っから計画立てていたっていうね!!!!!!!!!!!! 伝わったかな? ちゃんと説明できてる? いやできてねえなこれ もう読んでくれ。頼む!!!!! 読んでくれ!!!!!!

 

もうさ、途中で「はあ? 茶番かよ」とか思ってまじすんませんした。これ、全部茶番だったんです。ぜ~~~んぶテツさんが考えたとおりに全員が動いてて、もう最後に作戦が失敗することも決められてた茶番だったんです。最高かよ・・・はぁ、すき。

全部が最高の茶番の『カラスの親指』、絶対に読んでほしい。

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)