ドリームの日記

社会の荒波に負けた。

ハサミ男を読んだ

殊能将之さんのハサミ男を読みました。

最高&最高でした。なぜ今まで読んでいなかったんだろうな。

ネタバレ。

 

ハサミ男と呼ばれる連続殺人犯目線が多い話なんだけど、やっぱり主人公補正ってあるので、ハサミ男応援したくなるんですよ。

捕まらないで! って思っちゃう。

まぁ、模倣犯ハサミ男が探すので、捕まるの真犯人なんですけどね。

過去の犯罪ばれないで! 逃げて! と思ってしまうんですよ。

 

あと、ハサミ男の正体が、もう、もう、

「ああああ~~~~あーーーお前~~~・・・おまえぇぇぇ!」となる。

ずっと同じ景色見てたじゃん・・・お前じゃなかったんかい・・・ってなった。脱力。

 

確かに、ハサミ男が「男」だなんて一言もなかったんだよな。

ハサミ男」って通称と、医師が男だったから騙された。叙述くそ~~~

そんでお前美人なんかい。自分ではデブだと勘違いしてるただの美人なんかい。

太ってるってのでまた騙されたんだよな~~~

 

でも、それをわかって読めば、男だとおかしいところもあるんだよな。

早く先が知りたくてスルーしちゃってた。

そこら辺わかって二度読むとさらにおもしろい。ねっ!

 

終わり方も良かったな。

新しいターゲット見つけるの。

ずっとハサミ男目線だから応援しちゃってるので、これからも頑張ってバレないように殺すんだぞ! とか思ってしまうもの。

 

こういうおもしろい話は一気に読んでしまうね。最高でした。

おわり。

 

斜め屋敷の犯罪を読んだ

島田荘司さんの斜め屋敷の犯罪を読みました。

前に感想を書いた、星占術殺人事件のシリーズです。

御手洗さんと石岡くんにまた会えたよ!!!

登場するのが話の後半なので、御手洗シリーズということを忘れかけてたけど、ちゃんと出てきた! よかった!

 

ハマーディーゼルという大企業の社長・浜本さんが道楽で建てた「流水館」が舞台です。

タイトルにある通り、斜めの屋敷。壁や床が全て5度ほど傾斜していて、慣れていない人は転んだりするらしい。浜本さんはそれを見て楽しむ。悪趣味なじじいにも程があるだろ。

 

12月25日、浜本さんは提携先の企業の社長・菊岡さんとその愛人、運転手と従業員夫婦を屋敷に招待しました。他にも浜本さんの娘・英子(美人)とか英子のボーイフレンド候補とかがいた。

 

そんで人が死ぬ。館といえば、密室殺人だよね!!!!! 小説読んでて密室の謎を自力で解けたことが一度もない!

 

菊岡さんについて来ていた運転手の上田さんが、部屋で殺されているのが見付かるわけですよ。しかも変なポーズで死んでんの。おちゃめ。

 でも上田さんの場合、密室だったってことより、屋敷にいたみんなに上田さんを殺す動機がないことのほうが問題視されてた。

もちろん警察も駆けつけるんだけど、上田さんぼっちの空気だったので、誰にも恨まれてなかったし会話したことのある人すら少なかった。寝食共にしてんだから、もうちょっと興味持ってあげてよ。

 

この時、外には雪が積もっていたのに足跡がない。あと雪に謎の木の棒が刺さっている。浜本さんが趣味で買っていたゴーレムがバラバラの状態で外に落ちている、などの意味わからん事象がありました。

 

ちなみに、足跡は屋根から雪を落として消したんだってよ。北海道出身としては気付きたかったトリックでした。

でも、屋根から雪落としたらその場所だけ目立つと思うんだけど! と少し思った。まぁ、みんな目がポンコツだったのでしょう。

木の棒は、「ここからここまでの間に雪を落とす」っていう目印。ゴーレムは、バラバラにしてその上を歩いた。絶対沈むけどな。そんなに積もってなかったのかしら。

 

警察も全くわからんち! な状態なので屋敷に泊まり込みすることに。そんで警察がいるにも関わらず、菊岡さんがまたも密室状態の部屋で殺されます。

 

ここら辺で、「トリックは一個もわからんけど、たぶん犯人こいつやろ」って人が出てきます。小説って基本的に意味のない会話はあんまりないんだけど、「こいつ犯人じゃん?」って人と菊岡さんが、全然意味のない内容に思える会話をしていたので。たぶんここら辺が動機なんだろうなぁと思った。ら、本当にそうだったので笑った。

あと、あからさまに怪しい行動をそのまま書いている。ので、読んでると絶対犯人はわかります。でもトリックは一個もわからない。それがもどかしくておもしろかった~~~。ハウダニットのお手本のようなお話!

 

実際のトリックは、力技がすぎた。

屋敷が斜めになっているのは菊岡さんを殺すためだったんだけど、(つまり屋敷を建てるときから菊岡さんを殺すことだけ考えてた)(つまり犯人は浜本さん)斜めにしたからこそできた殺害方法っていうのが、まじで笑うのでぜひ読んでほしい。

「嘘でしょ!?」って言いながら笑うので。そんなんありかよ~~~本当に死ぬ? それで死ぬ? ってなる。でもみんな本気だから。本気で殺したの。

 

ちなみに上田さんですが、死ぬ必要は全然ありません。かわいそうに。

浜本さんは菊岡さんを殺したい。でも上田さんも菊岡さんを殺そうとしている。くそ野郎! 先に貴様を殺してくれる! という感じです。

そんな物騒な人ばかりが1つの屋敷に集まることある? こわい世の中になったものだよ。

 

上田さんがとっていた変なポーズは、一応ダイイングメッセージでした。ただ、高度すぎて御手洗さん以外には理解されなかった。みんなはもし殺されそうになったら、変な暗号にしないで素直に血で名前を書こうな!

 

あと、御手洗さんの変人ぶりが際立っていて、屋敷の人々に邪険にされているのも愛らしいのでそれも楽しんでね。石岡くんが不憫でならないよ!

 

最後に、クミ。

菊岡さんの秘書ということになってるけど、本当は愛人のクミがおもしろかった。

菊岡さんのことを「パパ」と呼んで怒られるクミ。菊岡さんの死体を発見して、みんなの前で「パパ!」と叫んでしまうクミ。

「『パパと呼ぶんじゃない!』パパは怒った」と言う感じで、地の文もパパって言うんだよ。誰目線なんだよって思って笑った。

 

エンタメとしても楽しめるので読んでみてね。おわり。

 

吸血の家を読んだ

二階堂黎人さんの「吸血の家」を読みました。

 

蘭子ちゃんと黎人くん兄妹を中心に起こるミステリーです。作者の名前が重要なキャラに使われているの良いよね。

辻村深月さんとか、伊坂幸太郎さんとかのが好きだったな。名前使うやつ。(有栖川さんは未読)

 

事の発端は、蘭子ちゃんと黎人くんがよく行く喫茶店に怪しい女が現れて「雅宮家で恐ろしい事件が起きるぞぉ~!24年前の事件とも関係があるぞぉ~!」と騒いで逃げる。

なんぞあの女・・・とお客たちは思いつつ、雅宮家というのは蘭子ちゃん黎人くんの親戚のお家なので知らせてくれた。

この時、外は吹雪だったんだけど、逃げた女の足跡は途中でパタっとなくなっていたわけです。単純に途中から車に乗ったんだろうということだったんだけど、この流れで、この本では足跡系のトリックが使われるんですね!!!!!と思ってさっそくワクワクしました。

 

喫茶店での怪しい女の一件について聞いた蘭子ちゃんと黎人くんは、知り合いの中村警部を家まで呼び出して話を聞きます。(蘭子ちゃんと黎人くんのパパ上は警視正。そんな家庭に生まれてみたい)

そこで、24年前に中村警部が関わっていた雅宮家での事件について知ります。

雪の降る日に、雅宮家で1人の男が背後から毒の付いた短刀でブスリとされて死んでしまっていたということでした。しかも、被害者の足跡はあるのに加害者の足跡がない。ひゅ~~~~~!!!最高かよ~~~~!

雪って、足跡トリックのためだけに降ってるんじゃ?北の大地って、そのためだけに日本にあるんじゃ???

 

雅宮家は女系家族で、アホみたいに美人の三姉妹と、その長女の娘、お手伝いさん夫婦が暮らしています。長女の娘・冬子さんは体が弱い上に時折何かに取りつかれたようになるので、そのお払いをしてやると怪しい霊能者が乗り込んできます。

除霊会を開くから蘭子ちゃんと黎人くんも参加しましょ!と誘われて「こいつは事件が起きるぜ」と意気揚々と参加する2人。そして案の定人が死ぬ。しかも密室。(死んだのは、霊能力者を連れてきた男。ちなみに次女の元旦那)

 

次の日(だったっけ?)には、テニスコートに倒れている霊能力者。被害者の足跡はあるのに、加害者の足跡がないよぉ~~~~~~!!!ってのが、ここで起こります。しかも、被害者の足跡を見るに、明らかに何かから逃げてて後ろから刺されている。

この謎、トリックが説明されたときに「わかるかーーーーい!」って声出たわ。そんな知識持ってないわよ。名探偵になる人って全知全能なの???

 

24年前の事件は、犯人がわかった後に謎解きされるんだけど、犯人がわかったときに「足跡なかったのはこういうわけかーーーーー!!!!!」とギリギリ先に気付くことができた。やったね!犯人は全くわからんかったけどな!!!

 

わたしは、ミステリの中で探偵を務める人は基本的に変人のほうが好きなんだけど、この作品の名探偵になる蘭子ちゃんはとてもしっかりした人です。美人で頭良くて、見ていて安心できたので、こういう名探偵もありだなーと思いました。蘭子ちゃん好き。

 

吸血の家は、雪が降ってることによって出てきた足跡の謎が良かったし、美人三姉妹が美人である必要もそんなにないのが最高だった。小説って美人が館にいるだけで、なんか怖くなるもんね。儚ねぇよ~~~~~~~~~~~~~~!!!

 

とりあえず蘭子ちゃんのシリーズ他のも読みたいな。終わり。

星占術殺人事件を読んだ

先日、島田荘司さんの星占術殺人事件を読みました。

この本を貸してくれた人には「殺人事件が3件起きるんだけど、犯人が全くわからない。第三の殺人を起こすのはこいつしかいないだろ!ってやつは、第一の殺人でとっくに死んでる。消去法で犯人を絞り込むのすら無理。でも、ちゃんと読んだらわかるようになってる」と言われていました。

 

わたしはもともと「トリックわかったっぴー!」とかできたことないので、そんなんもう無理じゃん絶対わからないじゃん・・・と負け戦に出たわけです。

でも、トリックわからなくても犯人当てるくらいはしたいなぁと思ってました。小説を読んでいたら、「全然わかんないけど、たぶん犯人こいつじゃね?」ってことありません?

 

小説冒頭は、わりと長いイカれ親父の手記で始まります。

娘と親戚の女の子6人を殺してバラバラにして、それぞれのパーツを錬金術で組み合わせて「アゾート」を作る!とても美しい生き物がうまれる!おいら絶対にアゾート作る!って内容です。まじもののテンションでアゾート計画を長々と語られるのは結構きついです。こいつは魚座なのでこうやって殺すのがいい。残りのパーツはどこどこに捨てるのが最適。みたいなのが永遠続きます。

読み始めてさっそく「?こいつ頭イカれてんな?」となります。

 

で、そのイカれ親父が密室で殺され、イカれ親父の義理の娘(結婚してすでに家は出ている。未亡人)が自宅で殺され、6人の娘と親戚の女の子が行方不明に。そしてイカれ親父の手記が見付かり、アゾート計画が知れわたります。そんで6人の娘たちがそれぞれ別々の山でパーツが足らない状態で見付かりました。頭がないとか、胸部分がないとか。

 

こりゃあ完璧アゾート作られてるよ~~~!となるんですけど、アゾート計画を立てていた平吉(イカれ親父)は、6人が行方不明になる前に殺されてるし、じゃあ平吉にアゾート計画について聞いた人が犯人?でも平吉ぼっちだから友達いねえよ?ってなります。

 

そもそも平吉殺しも密室で行われ、意味のわからない足跡が残されていたりして完璧に意味不明なのです。

それから40年、この謎は解かれずに、マニアがアゾートを探したりしてました。(アゾートが本当に作られたかどうかもマニアが好む争点)

 

そんで、出てくるのが御手洗さんです。

御手洗さんは星占術をやっている人で、そこに飯田さんという女性が相談に来ます。まぁ、いろいろ訳あって、この殺人事件を解決しておくんなまし!という相談です。

御手洗さんは、唯一の友人・石岡くん(結構マニアでこの殺人事件に詳しい)と一緒に事件解決に乗り出すわけです。

前半は石岡くんが事件について説明して、御手洗さんは「それはこういうトリックだね。ふん」みたいに言うことが多いです。

お話が進むにつれて、御手洗さんが「京都に行くぞ!」と言い出す。手がかりを探すわけですね。なぜなら飯田さんのお兄さんがやって来て、言い争いになった挙句、御手洗さんが「一週間で犯人を見つけてやる!」と言ってしまったので。

実は、飯田さんのお父さんは警察官で、事件当時いろいろと犯人に利用され、死体を日本各地の山中に埋めていたのです。利用されたといっても、実際に犯人には会っていません。そのことを示した手記を残したまま亡くなり、それを飯田さんが見つけて「父の無念を晴らして!(旦那が警察官なのであわよくば手柄をくれ!)」という流れだったのです。

 

ところが、飯田さんのお兄さんも警察官だったわけで、御手洗さんに重要な記載のある手記が渡ったことを知り、「それを返せ素人!警察が捜査するんだ黙ってろ!」と怒鳴り込んできました。そんなこんなで、御手洗さんが一週間で解決するからその間だけは待っていろと啖呵を切ったわけです。

京都に行って、いろいろと動きが出てからが個人的には好きだったかな。

今起きている殺人事件じゃなくて、40年も昔の事件を解決する、というのは私の中では新鮮でおもしろかった。

 

御手洗さんと石岡くんの掛け合いもとてもおもしろくて好き。ただ、口調が同じなので何回も「これどっちが喋ってんの?」となった。ゆっくり注意して読めば大丈夫だけど。バーっと一気は読めないのがもどかしかったよ。

 

あと、御手洗さんは奇行が激しく、それに対する石岡さんの反応というか心の声が完璧にツボでした。奇行じゃないけど、「御手洗は犬に好かれる性質らしい。同類と思われているのだろう」とか最高。そんな普通のテンションで最上級のディスを入れなくても。

 

御手洗さんが発狂して公園内を走り出し、石岡くんがそれを追いかけ、近くにいたカップルにドン引きされ、最終的に走り出した位置と同じ場所に戻ってきたところは普通に声に出して笑った。やっぱりさ、名探偵は少し頭のおかしい人がいいよね。

 

で、犯人がわかった御手洗さんは、石岡君を京都に残して犯人を捜しに行く。40年たってるのに、居場所の目処がついたらしい。そして本当に見つけちゃうんですよ。

 

呼び出された石岡君。目の前にいるのは女性。「こちらが犯人だよ」と紹介されるも、「誰???」って感じになる。もちろんわたしも「お前誰だよ」ってなってました。女?女で事件に関わってて存命なのっていたっけ?誰?となる。

 

犯人とかトリックとか、ここで説明したいんだけど、無理ですわ。とにかく犯人のやることが大胆すぎた。ていうか、小説内の構成もうますぎて完璧に騙された。読みはじめから騙されてた。叙述~~~~!ふぅ~~~!

 

十角館の殺人もそうだったけど、まじで言葉にならない声が出るんだよね。

あ~~~~~!あーーーーーーー!!!って、本当に言っちゃうの。心の声じゃなくて、まじで言ってるからね。奇行というものに関しては名探偵の才能があるのかもしれない。

 

今後ね、推理小説は前提とか全てを疑いながら読もうと思いました。

 

終わり。

十角館の殺人を読んだ

先日、綾辻行人さんの十角館の殺人を読みました。

 

ストーリーは

犯人の独白(絶対あいつら殺してやる復讐じゃ・・・的なの。もちろん名前も性別もわからない)から始まる。

そんで大学の推理小説研究会の7人が行く、無人島の十角館が舞台になります。

 

もうさ、無人島+館とか最高すぎるでしょう。

一週間外と連絡が取れない状態なんだけど、こういう王道がとても好きなので読み始めてすぐに「最高です!!!!」となった。

 

犯人の独白でも、殺人を計画していたことを手紙みたいなのに書いて、瓶に入れて海に流すんだけど、これがアガサ・クリスティーそして誰もいなくなった」のオマージュになってるんだよね。アガサ読んでて良かった。

しかも、館には同じくそして誰も~に出てきた10体のインディアン人形を思わせるものもあるのよ。オマージュとかかなり好きなのでワクワクしました。

 

推理小説研究会のメンバーは7人で(他にもいるけど、無人島に来たのは7人)それぞれ、有名な推理小説家の名前で呼び合ってる。アガサとかエラリイとかね。

この名前は、研究会の中で中心的なメンバーが代々先輩から受け継いで来てるっていう最高な設定。選民性がすごい。わたしも先輩からアガサって名前受け継ぎたい。(作中のアガサが美人設定なのがまた最高)

ちなみに、エラリイ・アガサ・ポウ・カー・ヴァン・オルツィ・ルルウの7人です。

ずっとこの名前で進んで行くことによって本名がわからず、それがね、それがいいんですよ。後半でふと、この中の誰かなんだろうなぁという名字が出てくるんだけど、読んでるこっちからしたら「誰だそいつ」ってなるんです。これはね、小説だからできたお話だよね。すごい本当にすごい。

 

行った島も島で、半年前に4人が惨殺された島。屋敷もその人たちが所有してたもの。そんなところに意気揚々と泊まりに行くイカれ具合よ。

で、殺人予告みたいなものがあり、「誰のイタズラでござるかwww」みたいになってたんだけど、翌朝オルツィが自室で首を絞められ、左手首のない状態で見付かり、イタズラじゃなかった!とパニックになります。

 

この時、オルツィの死体を確認したのが、医学部のポウだけなんですよね。

若い女の子だから、この顔は見ないでやってくれ・・・みたいに言うので。絞殺だからね。

なので、わたしは「絶対オルツィ生きてるしょ。共犯者でしょ」ってずっと思ってた。

 

そんで案の定、続々と死んでいくんですよね。みんなが大好き「コーヒーを飲んでたらいきなり苦しみだして死ぬ」というパターンもあるよ!だんだん人数が減っていって疑心暗鬼になっていく様も良いです。

わたしはエラリイがお気に入りだったので「死なないでくれえ死なないでくれえ」って思いながら読んでた。

でもこの状況で生き残るには犯人か名探偵かしかないから、難しいよね。

 

ちなみに、島だけではなくて本土でもお話が進みます。

推理小説研究会の元メンバー、江南くんのもとに「千織は推理小説研究会の奴らが殺した」という内容の手紙が届いていました。

千織というのは、推理小説研究会にいた子で、歓迎会かなんかで急性アルコール中毒で亡くなってしまっています。そんで千織ちゃんのご両親が、半年前に島で惨殺された4人の中にいるのです。こわや。完璧に島に行っちゃアカンやつです。

 

それで好奇心旺盛な江南くんは、推理小説研究会で仲が良かった守須くんと一緒に、この話に首を突っ込んでいくのです。

江南くん、かわみなみ と読むのですが、もう「コナン」としか読めないよね。しかも、研究会にいた頃に受け継いでいた名前は「ドイル」です。最高&最高かよ。

じゃあ守須くんは「ルブラン」なのかな?ってなるよね。なるんだよ。

(「モーリス」自体は知っていたけど、「モーリス・ルブラン」とは知らなかったので今調べた)

 

島では、どんどん人が死んでいく中、みんなで「こいつの時は○○なら犯行が可能。こいつの時なら△△が濃厚」みたいに話し合っていきます。まぁ、すぐ喧嘩になるんですけど。それを読みながら一緒に推理するのも楽しいですよ。

 

千織ちゃんの家庭の事情とかもどんどん大事になってきて、一体誰がなぜ(わたしは本当に千織ちゃんのために殺してるのか?とずっと疑問に思ってた)殺人をしてるのか、当ててみてくりゃれ!!!

 

これは結末まで感想書いていたらまじで終わらないので、書きません。

ただ、犯人がわかるところは本気で「あああああああ~~~!あーーー!あーーー!」って声出ます。言葉にならない声が出ました。

お前~~~~~!?お前そうかー!お前~~~!くそーーーー!となります。

 

誰かが読み終わって「お前ー!お前かーくそー!」ってなってるところ、いつかリアルタイムで見たいな。横で「わかる~」って言いたい。

 

終わり。

恐怖小説キリカを読んだ

澤村伊智さんの長編3作目、「恐怖小説キリカ」を読みました。

澤村さんの1作目「ぼぎわんが、来る」も2作目の「ずうのめ人形」も大好きだったので、「恐怖小説キリカ」は書店で予約してゲットしていました。読み終わったのは結構前なので少し曖昧です。

 

ぼぎわん・ずうのめは、ちゃんとオバケが出てくるホラー小説です。わたしは純粋なホラーが好きなのでとってもとっても嬉しかった。

今回のキリカは、「人間が一番怖い」系の話です。個人的には、人間が怖い系を読んでると「なんだこいつ本当に日本語が通じねえのか。説得できねえんなら殺される前に殺せ!!!」となってしまうので少し苦手です。感情移入が激しいので。

 

でも澤村さんの作品は全て読んでおきたいので買っちゃった。

そうしたらね、主人公が「澤村電磁」と言うペンネームで投稿した「ぼぎわん」が、日本ホラー小説大賞を取るところから始まるんだよ。「これまんま澤村さんのお話やーん!楽しい!」ってなりました。

 

すごいね、現実の出来事を反映してるんだよ。澤村さんがもともと「伊智」じゃなくて「電磁」で投稿していたのは知っていたんだけど、何でペンネーム変更されたのかは知らなくて。でも、こういう理由だったんだなとわかった。それも楽しい。

編集の人との会話とか、ほとんどそのまんまなんじゃないの?と思えてくる。

 

ストーリーとしては、澤村さんは働きながら趣味で「小説を書くぞ会」というのに参加している。(本当にこの会もあるらしい)

そこで書いた小説「ぼぎわん」をホラー小説大賞に応募したら、大賞を取って出版が決定した。それを会のみんなに報告したら、その中の1人が「こいつは俺が育てた。これからもプロデュースする。こいつのことは俺が一番わかってる」みたいになっちゃって、まじもののストーカー化する・・・という感じ。

 

タイトルにもなっている「キリカ」は、澤村さんの奥さん。

2人目の奥さんなんだけど、澤村さんはそれをみんなに言っていないので、ストーカーももちろんキリカの存在を知らず、「離婚して闇落ちしたからこそ、こんな素晴らしいものが書けた。前妻への悪意がつまってる。前妻は今すぐ謝罪しろ!!」みたいなテンションになります。

 

そしてキリカの存在を知ってしまったストーカーは、「嫁殺すわ」となって家に押しかけちゃう。これだけでまぁまぁ怖いしむかつく。キリカも怖い思いする。澤村さんもキリカも絶体絶命!!!みたいになるんだけど、突如ストーカーが「嫁はどこにいる?お前は誰と話しているんだ???」と言い出す。キリカは(え?わたし目の前にいるけど、どゆこと???)となる。ストーカーにキリカは見えていない。

 

ほえ~~~~!!!そっち!!!となりました。どうりで話が進むペースに比べて、残りページが多すぎると思った。

作中の澤村さんは、人を殺さなきゃ耐えられない!!でも殺さないで生きていけるなら、そっちの方がいいな って癖の方で、前の奥さんと結婚してた時だけは殺人衝動がなかった。でも離婚が決まって、やばい!また殺人衝動でる!平穏に暮らしたいのに!となり、でも再婚はできそうにない、どうしよ・・・あっ!脳内で奥さん作ればええや~~~ん!となり、キリカを作り出しました。発想がやばい。

脳内奥さんは、最初は妄想でしかなかったのに、いつの間にか勝手に動き出すようになったと。ただ、キリカが喋る声は、澤村さんの口から裏声となって出てくるので、外では注意が必要。妄想の奥さんなので、キリカのことは誰にも言ってなかったということですね。キリカ自身も、自分が妄想の産物だなんて知りませんでした。

 

ただ、キリカは案外あっさりそれを受け入れてた。

ストーカーは澤村さんがパッと殺して死体をバラバラにしてバレないように処理し、それ以降殺人を繰り返すようになるんだけど、キリカはそれを止めようとする。それで自分がどこまで自由に行動できるのか色々と実験するんだよね。

自分なら、(えー?わたし妄想なの?命とは・・・一体・・・)となってしょんぼりすると思うので、キリカはすごいです。

というか、メンタル割と弱くて相手に強く言えないというイメージがあったので、キリカいきなりどうした・・・と思いました。澤村さんを止めたい一心で頑張ったのかね。

 

後半になって澤村さんのジェノサイドが加速した後も、これ現実の会話なんだろうなあと思うところはいくつかあるし、小説を書くぞ会のメンバーか書いた小説も使われたりしているので、だんだん「これ本当にフィクションなんだろうな・・・」という気持ちになってきます。こわいね。

 

最後までハラハラ ドキドキなのでぜひ読んでね。キリカ頑張れぇ~となるから。

 

とてもおもしろくて大好き!と思ったし、わたしが読んだ中での話だけど、すごい新しいなと思った。けど、やっぱりオバケが出るお話を書いてほしいな。次回作ではオバケが出てくるらしいので、楽しみです。

 

読んだ人はわかると思うけど、わたしが1ヶ月以内に死んだら澤村さんに殺されたと思ってください。

終わり。

屍鬼(三)を読んだ

小野不由美さんの屍鬼の続きを読みました。

 

ここらへんから夏野くんのお父さんがだんだんポンコツになっていきます。

最初のうちは村人ともちゃんと仲良くやって、夏野くんの気持ちは少し理解してあげられてないなと思ってはいたものの、ユーモアのある普通(よりたぶん少しかっこいい)お父さんだったのに。

夏野くんが屍鬼の存在に気付いて警戒していたのに、お父さんがあっさり家にいれてしまい挙句の果てに夏野くんが屍鬼、しかも仲良しだったお友達の徹ちゃんに噛まれてしまうという。

 

吸血鬼がよく言われている「招かれないと家に入れない」っていうのが屍鬼にも適用されていて、お父さんが家に入れちゃうんですよね。しらん奴を息子の許可なしに息子の部屋に入れるんじゃねえ。

お父さんは伝染病だと思っていて、その初期症状とかもしっかり知っている。なのに全くそれと同じ夏野くんの症状を見ても(少し具合が悪いだけだ・・・)とか逃避して放置する。それで死んだ人を何人も見てるのに。ポンコツか。

 

夏野くんのすごいところは、お父さんが「知らん女の子来たからお前の部屋に入れたよ」って言っただけで、招いたら自由に家に入れるようになる というのに気付いたこと。一緒に屍鬼を倒そう!って言ってる昭くんにすぐに電話で忠告します。なぜポンコツお父さんからこんなに鋭い子どもが生まれたのか。

 

アニメだとお父さんは小学生の女の子にブチ切れたり、まあまあひどい描写だったので、余計に悪く思えてるだけかもしれないけど。

 

あと三巻からは屍鬼側の視点も入り始めるので、それもおもしろい。

家族を進んで屍鬼にしようとする人もいるし、家族は襲いたくないって人に分かれる。すぐに人を襲える人もいるし、自分では襲えなくて血だけ分けてもらっている人もいる。屍鬼になっちゃったら、どうしようねえ。と思う。

恵ちゃんが「生きてた方がマシ」ってなるところは好きだなあ。

 

あと、村がおかしいって気付いてる人ほど(伝染病だと思ってる人も、屍鬼だと気付いてる人も)自分たちには災厄が降りかからないって思っていておもしろい。

何人もの登場人物が「自分の周りは避けてくれるものだと妄信していた」みたいなこと言い出す。でも実際そうなるんだろうな。

 

屍鬼の仕業ってことはわかった。でも何のためにやってるのかわからん!って感じで三巻は終わりました。四巻も楽しみ。

 

 

 

ちなみに静信さんは仲良しの沙子ちゃんが元凶って気付いたのにほっといてます。気付いてからも会ってるし「君が屍鬼だね」とか言うのに。せめて動機を聞くくらいしろや。ほっといてるくせに、武藤先生と「奴らは何のためにこんなことを・・・?」とかやってます。あんたが本人に聞けば済む話や。